
院長:吉川お気軽にご相談ください!


「うちの子、こんなに真面目なのに、どうして朝起きられないんだろう」。そう悩んでいる親御さんは、決して少なくありません。もしかしたら、今まさにそんな気持ちでこのページをご覧になっているかもしれませんね。
実は、起立性調節障害には、発症しやすい性格の傾向というものがあります。「怠けているわけではない」「サボりたいのではない」、そのことをまず知っていただきたくて、この記事を書きました。
私自身、これまで5万人以上の方を施術してきた中で、起立性調節障害のお子さんやそのご家族と向き合ってきました。今日は、性格と発症の関係について、できるだけわかりやすくお伝えしていきます。


「真面目な子ほどなりやすい」と聞くと驚かれる方も多いのですが、これは決して珍しい話ではなく、日々の臨床の中で実感していることでもあります
まず、起立性調節障害がどういう病気なのかを簡単に整理しておきましょう。この病気は、自律神経のバランスが乱れることで、立ち上がったときに血液が下半身に溜まり、脳や上半身への血流が不足してしまう状態です。主に小学校高学年から高校生にかけての思春期に多く見られ、朝なかなか起き上がれない、立ちくらみがひどい、倦怠感が強いといった症状が現れます。
外から見ると「サボっているだけでは?」と思われてしまいやすいのですが、本人には本当につらい症状があります。自律神経が深く関わっているため、気合いや根性で解決できるものではありません。
そして見落とされがちなのが、心理的なストレスや性格傾向と自律神経の乱れには、密接なつながりがあるという点です。これが、「なりやすい性格」というテーマを考えるうえでとても重要になってきます。
起立性調節障害を抱える子どもたちに共通して見られる性格傾向があります。これはあくまで傾向であり、当てはまるからといって必ずしも発症するわけではありませんし、逆にこれらの性格ではないのに発症することもあります。ただ、多くのケースで共通しているポイントがありますので、一つずつ丁寧にお伝えしていきます。
起立性調節障害のお子さんのご家族から話を聞いていると、「本当によく頑張る子なんです」という言葉をよく耳にします。宿題を忘れたことがない、委員会の仕事を率先してやる、頼まれたことを断れない、そういったお子さんに多い印象があります。
真面目さや責任感は素晴らしい資質です。しかし一方で、「やらなければ」「迷惑をかけてはいけない」というプレッシャーを自分の中に溜め込んでしまいやすいという側面もあります。そのストレスが積み重なり、自律神経に影響を与えていくことがあるのです。
周りの空気を読むのが得意で、誰かが困っていると放っておけないタイプのお子さんにも多く見られます。感受性が豊かなことはとても良いことですが、同時に、他人の感情を自分のことのように受け取ってしまうため、知らず知らずのうちに疲弊していくことがあります。
学校でのちょっとした人間関係のもつれや、先生の何気ない一言も、敏感に受け取ってしまう。そういった繊細さが、心と体の両方に負担をかけていくのです。
「嫌だ」「つらい」「助けてほしい」という気持ちを、言葉にするのが苦手なお子さんも多いです。親御さんから見ると「特に何も言わないし、大丈夫だと思っていた」とおっしゃることもよくあります。でも本人の中では、ずっと何かを抱えていたりします。
感情を外に出せないまま溜め込んでいくことが、自律神経のバランスを崩す一因になることもあります。「いい子でいなければ」という無意識のプレッシャーが、体のSOSにつながっているケースも少なくありません。
「もっとうまくやれたはずだ」「あの時こうすれば良かった」と自分を責めやすいタイプのお子さんも、起立性調節障害との関連が見られることがあります。特に勉強や部活に熱心で、ちょっとしたミスでも深く落ち込んでしまう。そういった白黒思考のパターンが、慢性的なストレスにつながることがあります。
ここで、とても大切なことをお伝えしたいと思います。先ほど挙げた性格傾向は、あくまでも「発症しやすい背景の一つ」です。決して、その子の性格が「悪い」わけでも、「弱い」わけでもありません。むしろ、思いやりがあって、努力家で、周りを大切にできる、素晴らしい性格の持ち主であることがほとんどです。
また、「親の育て方のせいだ」と自分を責めてしまう親御さんもいらっしゃいます。でも、そうではありません。責任感の強さや繊細さはその子が生まれ持った気質でもありますし、思春期の身体的な変化や環境的なストレスなど、さまざまな要因が重なって発症するものです。
「なぜうちの子が?」という疑問に対して、責任の所在を探すのではなく、今この子に何が必要かを考えることが、回復への第一歩になります。
起立性調節障害が続くと、発症前とは別の悩みが出てくることがあります。もともとは穏やかだったのに、急にイライラしやすくなった、些細なことで怒鳴ってしまう、反対に無気力になって何もしなくなった、そんな変化を感じている親御さんもいるのではないでしょうか。
これは性格が変わったのではなく、脳への血流が不足していることで、感情のコントロールが難しくなっている状態です。体がつらいから、気持ちにも余裕がなくなる。その子を責めるのではなく、「体がそれだけしんどいんだ」と受け取っていただけると、関係がずいぶん楽になることがあります。
また、学校を休んでいる間、「自分はダメな人間だ」という自己否定感を抱えてしまうお子さんも少なくありません。そういったときこそ、正しい情報と適切なサポートがとても重要になってきます。
起立性調節障害の治療は、生活習慣の改善や薬物療法が中心になりますが、鍼灸や整体の観点からも、自律神経のバランスを整えるためのサポートができます。東洋医学では、体の「気・血・水」の流れを整えることで、全身の機能を調整することを大切にしています。
特に、副交感神経のはたらきを促すような施術は、過剰に緊張してしまっている神経を穏やかにほぐしていく効果が期待できます。ただし、すべての症状に対して同じアプローチが正解というわけではありません。お子さんの状態や症状の程度によって、施術の内容は変わります。
私の院では、お子さん本人はもちろん、一緒に来られる親御さんのお話もじっくりうかがいながら、その子に合ったサポートを一緒に考えていくことを大切にしています。「何から始めればいいかわからない」という状態から来られる方も多いので、どうかそのままの状態でお越しいただければと思います。
施術と並行して、日常生活でできることもあります。まず大切なのは、水分と塩分をしっかり摂ることです。血圧が下がりやすい起立性調節障害では、水分補給が症状の緩和につながることがあります。また、ゆっくり立ち上がる習慣をつけるだけでも、立ちくらみの頻度を減らすことができます。
睡眠リズムの見直しも重要です。夜遅くまでスマホを見ていると、自律神経のバランスがさらに乱れやすくなります。「夜10時以降はスクリーンを見ない」というシンプルなルールから始めるだけでも、睡眠の質が変わってくることがあります。
そして何より、「できないことを責めない」環境を作ることが大切です。今日は起き上がれなかった、学校に行けなかった、それでも「よく頑張ったね」と声をかけてあげてください。焦らず、少しずつ、一緒に回復していきましょう。
起立性調節障害になりやすい性格の傾向として、真面目で責任感が強いこと、繊細で感受性が豊かなこと、自己主張が苦手なこと、完璧主義であることなどを挙げてきました。でも、繰り返しになりますが、これはその子の「弱さ」ではありません。むしろ、優しさや誠実さの裏側にあるものです。
大切なのは、その性格を否定するのではなく、「どうすれば自分を守りながら生きていけるか」を一緒に見つけていくことだと、私は思っています。焦る必要はありません。あなたのペースで、一歩ずつ進んでいけばいい。そのお手伝いができることを、嬉しく思っています。
一人で悩んでいると、どんどん気持ちが重くなっていきます。お子さんのこと、ご自身のこと、「ちょっと聞いてみようかな」という気持ちになったら、いつでもお気軽にご相談ください。どんな状態でも、一緒に考えていきます。

